事例紹介

当事務所でお引き受けした事例をいくつか紹介させていただきます。

遺言執行者に指定されていたケース

相談者(60代・男性)

遺された遺言書の遺言執行者に指定されていますが、何から始めればいいのかわかりません。また、平日の日中は仕事のため時間を割くことができません。

事務所からの提案と対応

役所や金融機関では基本的に平日日中の間に手続きを行う必要があるため、当事務所において遺言執行者から委任を受け、依頼者に代わって遺言執行事務を代行いたしました。具体的には、金融機関等での相続手続を代行することはもちろん、前提として相続人調査や財産目録作成する必要があることをご案内のうえ、相続手続丸ごとお引き受けすることを提案し、財産承継のお手伝いをさせていただきました。

「遺言執行者」は、遺言の内容を実現するため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。例えば、法定相続人への執行開始通知義務、財産目録の作成及び交付義務等、なすべきことが細かに法定されています。当事務所では、法定事項のすべてを代行し、相続人への財産承継までお手伝いできますので、お時間をなかなか割けない方でも安心してご依頼いただけます。また逆に、ある程度は自分で手続きを行いたいという方は、できないことだけを選んでご依頼いただけることも当事務所の強みです。

相続人が多数いたケース

相談者(50代・男性)

子供のいない叔父が亡くなったのですが、相続手続を丸ごとお願いしたいです。叔父は遺言を遺しておらず、おそらく相続人は10人を超えるのですが、連絡先もほとんどわかりません。

事務所からの提案と対応

当事務所において戸籍を辿り、相続人確定を代行したところ14人が法定相続人となるケースでした。14人はすべて従姉妹の関係で、大人になってからは連絡を取っていない方ばかりであったため、当事務所が提示した手紙の案文を基にして依頼者から発送していただき、すべての方に事情説明のうえ、手続きを進めることができました。

お子さんがいらっしゃらない方に相続が起きた場合、兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)の方が相続人となります。このような場合、相続人が多数になることが多く、連絡をとるだけでも困難になるケースがよく見受けられます。当事務所は相続人確定から遺産分割協議に至るまで相続人全員の窓口となり、公平性を考慮しながら手続きを進めていくことが可能です。

行方不明の相続人がいたケース

相談者(60代・女性)

子供のいない叔母が亡くなり、それまで何かあれば姪の私が叔母の手助けをしていました。相続の手続きをするにあたり、連絡の取れる叔父や従姉妹には連絡をとったものの、1人だけ居場所のわからない相続人がいて困っています。

事務所からの提案と対応

相続人を確定すべく、すべての戸籍関係書類を取り寄せ居場所のわからない相続人の住民登録地を特定しました。しかし、手紙を送付しても、自宅へ出向き置手紙をしても音沙汰なし。相続人の息子さんと連絡を取ることができたものの、息子さんも何年も連絡を取っておらず、居場所が不明でした。
そこで、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に対して申し立てたところ、しばらくして家庭裁判所の調査の結果、居場所が判明しました。連絡を取って事情を説明し、無事に相続人全員で遺産分割協議を行うことができました。

相続人の中に連絡の取れない方が1人でもいる場合、その方を除いて手続きを先に進めることはできません。連絡が取れずまったく居場所がわからないケースは稀ではありますが、そのような場合、「不在者財産管理人」を選任し、遺産分割等の処分を進めていくことが可能になります。相談のケースのように、家庭裁判所における警察等行政機関への照会の結果、相続人が見つかるケースもあるものです。当事務所では、相談のケースのように家庭裁判所の手続きを経る必要がある場合でもお任せいただくことが可能です。

自筆の遺言書が見つかったケース

相談者(50代・女性)

亡くなった父親の遺品を整理していたところ「遺言書」と書かれた封筒が見つかったが、どうしていいかわかりません。

事務所からの提案と対応

自筆で作成された遺言書は、家庭裁判所において「検認」の手続きを経る必要があることをご説明し、家庭裁判所への検認申立のため、必要書類の収集から申立書類の作成代行をお引き受けしました。また検認後、遺言書の内容に従って依頼者への不動産の名義変更(相続登記)もお手伝いいたしました。

「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。 遺言書の保管者は、検認の申し立てを行うことが義務付けられています。検認された遺言は、その後、金融機関での遺産承継手続や、法務局での相続登記手続に用いることが可能になるものです。当事務所では家庭裁判所への検認申立から相続登記に至るまでサポート・代行対応いたします。

相続財産が自宅不動産しかないため遺産分割の方法に検討を要するケース

相談者(60代・女性)

母親が亡くなり、住んでいた自宅のみが遺産として遺されました。相続人は長女の私と長男の2人です。私は未婚で、面倒を見ながら母親と一緒に実家に住んでいました。弟も私も互いに気持ちは一緒で、法定相続分(各2分の1づつ)どおりに実家の相続登記を依頼したいです。

事務所からの提案と対応

実家を出て所帯を築いていた長男は、姉にはこれまでどおりに実家に住み続けてほしいと願う一方で、自身の法定相続分を貰いたいという気持ちもお持ちでした。自宅不動産以外に預貯金等があれば、これを基に公平に遺産分割協議をすることが可能になりますが、残された預貯金はほぼ無かったためこの方法は叶いませんでした。そこで、当事務所が次の2つの提案をしました。

①自宅不動産は長女の単独所有権とする代わりに、代償金として法定相続分相当額を長男に対して分割で支払っていく案
②自宅不動産は法定相続分どおりに2人の共有名義とするが、長女がこれまでどおりに無償で使用する代わりに、長女に将来相続が開始した場合には、長男の子(姪)に相続させる内容の遺言を遺してもらう案

①の案は、遺産分割の1つの方法で「代償分割」と呼ばれるものです。なにか(自宅不動産)を取得する代わりに、なにかで(金銭分割払い)償う方法です。自宅不動産自体の所有権は長女のものであるため、処分等は長女が自由に行えることとなります。
②の案は、自宅不動産は共有であるため、長女独自の判断では売却等の処分行為は行えません。しかし、長女にとっては金銭的な負担がなく、また、長男にしても(不確定要素はあるものの)将来自身の子供が不動産を引き継ぐことができるという安心感を持てます。
このケースでは相続人である2人が互いを尊重できる方法として②を選択されました。
相続人同士の関係性によっては①を選択せざる得ないケースもあり、場合によっては代償分割を行うために金融機関から借入を行うことも見受けれらます。
当事務所では、相続人それぞれに寄り添い、場合によっては遺言や金銭分割払契約等を活用するなど、最善の方法を模索して解決策を提案させていただくよう心がけております。